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街との出会い・発見

Vol.7 「品川・高輪ゲートウェイ」の暮らし

街との出会い・発見~「品川・高輪ゲートウェイ」の暮らし

後編:短い時間で自分を取り戻せる懐の深い
「品川・高輪ゲートウェイ」

双子の8歳の男の子と5歳になる娘の育児で忙しくも充実した子育ての日々を送っているNさん。子どもたちの学び舎や毎日遊ぶ公園と住居を近くにすることが自分の家族にはベストな選択だと考え、そのような環境に引っ越してきた。

義実家の法要で週末に家族皆で出かけることになったある日、普段は忙しくしている夫とゆっくり話す時間ができた。「幼稚園の後になにか習い事をさせてみたらどう?」というアドバイスに、探してみると送迎サービスもあるお稽古事が豊富に存在していた。リトミック、英語、プログラミング、バレエ、ピアノ等々、娘と体験教室を廻る時間はとても楽しいものだった。

心に少し余裕のできたNさんは、昔の同僚にも連絡を取るように。子育て中の元同僚とのランチは、自分の名前で呼んでもらえるうえに子育ての悩みも打ち明けられる特別な時間だ。専業主婦と現役ワーママという立場が異なることも気楽でいい。「娘さんと一緒に何か習ったら?」と勧められ、ふと義母から譲り受けた着物を着てみたいと思っていたことを思い出したNさん。

当初は着付け教室を探していたがただ着るよりも、帰宅してから子どもたちとも楽しめると考え直して茶道教室に通うことになる。入門してみればたくさんのお作法があり、美しい所作ひとつひとつに心を砕いているうちに日々の細かなことを全て忘れる時間を持てるようになった。

その何者でもない自分が心地よく、世代をまたいだ友人ができたことで今悩んでいることは長い人生から考えてみれば小さなことだと考えられるようになった。娘を幼稚園に送り、その足でお茶のお稽古に出かける。グランドプリンスホテル高輪のなかにある茶室で開かれた初めての茶事。普段生活しているところからすぐ近くで非日常体験ができると言うのはなんて贅沢なことだろうか。

「茶寮 恵庵」(写真提供:グランドプリンスホテル高輪)

夫の教授就任パーティーにもお茶で習った所作が功を奏した。着物を着て普段とは違う心持ちで夫の横に立つ。無意識に身に付いた動きで堂々と振る舞える自分に気が付き、「妻」という立場で社会に接する特別な場面を楽しめるようになっていた。

今後国際会議場が品川にできれば、お茶のボランティアとして出向くこともあるかもしれない。母親業で身につけた対応力、小さなお子さん連れの困りごとに対応してあげられる包容力。すべては無駄ではなかったと思える日が近い未来に来るだろう。  

「職住隣接」という言葉は自分には関係ないものだと思っていたNさんだったが、「母親」「妻」「娘」と様々な立場で振る舞う時は、ある種「仕事モード」でもある。

今後高齢化していく義実家や実家の両親にもすぐに会いに行ける利便性の高い場所、育児をしながら趣味を活かして社会に繋がれる場所。いろんな人の人生の花を咲かせることができる多様性のある人たちが集まるエリアとして、これからも品川・高輪ゲートウェイは発展していくだろう。

文・土橋陽子 / 写真・森田純典 / イラスト・越智あやこ / 企画:(株)PRエージェンシー

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